犬島精錬所美術館

犬島精錬所美術館は、かつて銅精錬で栄えた犬島の歴史的遺産と、現代アート、建築が融合した革新的な美術館です。建築家・三分一博志氏が設計を手がけ、柳幸典氏によるアート作品が展示されています。既存の精錬所遺構を活かし、太陽光や地熱などの自然エネルギーを利用した空調システムを組み込むことで、環境負荷の少ない建築を実現。煙突やカラミ煉瓦の壁など、明治期の産業遺産としての痕跡が随所に残る空間で、歴史と現在が呼応しています。

館内の作品群は、日本の近代化が抱える光と影をテーマとしており、柳幸典氏のインスタレーションを通じて環境問題や社会の在り方に目を向けるきっかけが得られます。周囲の磯と緑に囲まれた立地は、訪れる人に非日常を感じさせ、瀬戸内国際芸術祭の会場のひとつとしても注目を集めています。近代産業遺産とアート作品、建築自体が融合した独特の雰囲気を、五感で体験できます。

犬島チケットセンターカフェは、犬島精錬所美術館の敷地内ではなく、港に面したチケットセンターにあります。ここでは、パンやおむすびなどのモーニングメニュー、そうめんや鯛めしなどのランチメニュー、デザートなど、幅広いメニューが提供されています。特に、犬島で昔から婚礼などのおめでたい時に食べられていたという鯛そうめんや鯛めしなど、地元の食文化に触れられるメニューもあります。美術館の環境システムで育てられた柑橘を使用したカップアイスなど、ユニークなデザートも楽しめます。
店内は、美術館のモダンな雰囲気とは異なり、落ち着いた空間で、旅の疲れを癒すのにぴったりです。フェリーの待ち時間に利用するのもおすすめです。


【豆知識】
犬島精錬所美術館の建材であるカラミ煉瓦は、銅を精錬する際に生じる鉱滓（からみ）を再利用して作られたものです。産業廃棄物を建材として再利用するという、当時の最先端技術が使われていました。