出雲国風土記の佐太神社

佐太神社（さだじんじゃ）は、『出雲国風土記』にも「佐太御子社」として登場する、千数百年の歴史を持つ古社です。出雲国三大社の一つと称えられ、出雲国で最も古式を遺す神在祭や、ユネスコ無形文化遺産に登録されている「佐陀神能」が執り行われることでも有名です。主祭神は佐太大神（猿田彦大神と同神）で、開運・招福、そして導きの神様として厚く信仰されています。

佐太大神は加賀の潜戸（かかのくけど）の洞窟で生まれたという神話があります。

佐太神社の最大の特徴は、中央の正中殿、左右の南殿・北殿と、三つの本殿が並び立つ「三殿並立」という全国的にも珍しい社殿形式です。これらの本殿は国の重要文化財にも指定されており、その荘厳な佇まいは見応えがあります。また、境内には「縁結び」と「縁切り」の社が背中合わせになった田中神社という摂社もあり、様々なご利益を求めて多くの参拝者が訪れます。

特に旧暦10月（神在月）には、全国から八百万の神々が出雲に集まるとされ、佐太神社でも神在祭が執り行われます。厳粛な雰囲気の中で古の神事に触れたい方や、日本の神話や歴史に興味がある方には、ぜひ訪れてほしい場所です。


【豆知識】
佐太神社は、出雲大社が「神迎え」の儀式を行うのに対し、神々を「神送り」する重要な役割を担う神社として知られています。特に11月25日に行われる「神等去出祭（からさでさい）」は、500年以上続く厳粛な神事です。